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子供の頃から『神経質・心配性』で、なかなか気持ちの切り替えが出来ないタイプでした。大学を卒業し企業に就職しましたが、仕事でミスをするといつまでも落ち込んでしまい「この性格は損だなー、何とか変えたいものだ」と漠然と思っていました。
30歳代半ばの頃、そんな悩みを会社の先輩に相談した時に『成功の実現』を紹介されたのがきっかけで天風会に入会しました。入会後の変化を一言で表現すると、「色々な出来事に対しての気持ちの切り替えが早くなり、又、困難な事でもプラスに転換させる事が出来る様になった」事です。その具体的な出来事を以下にてご紹介させて頂きます。

「晴天の霹靂(せいてんのへきれき)」の転勤辞令を受けて・・・

8年前の5月の昼下がり、得意先での商談を終えて公園のベンチで一息ついていました。その時突然上司からの電話が鳴り「転勤辞令を伝えます。物流企画部に異動です。配送会社の業務管理の仕事です。宜しく」という内容でした。「解りました・・・、承知しました」と返事するのがやっと、驚きと落胆で頭が真っ白でした。
何故なら、私は入社して28年間、営業部門を中心に担当して成果を出してきたという自負を持っていましたし、実は物流部門で仕事する事だけは嫌で、避けたてきた部署だったからです。
更に、その頃は営業企画課で新しいプロジェクトを立ち上げたばかりでしたので、このタイミングで異動辞令が出た事はまさに『晴天の霹靂』。思わず大きな深呼吸をしながら空を見上げました。とても澄み切った青空と明るい陽ざしが目に広がり入りました。
その瞬間、「物流か・・・。今まで全く経験した事が無い業務だけど、定年まで10年も時間がある。新しいキャリアを身に付けられるチャンス、これはとてもいい転勤だぞ!」と不思議なのですが自然と思えてきたのです。気持ちが明るく軽くなり、ポジテイブに転換していたのです。
だから早速妻に電話し、「物流企画部への辞令を貰ったよ!」と元気に伝えると「よかったね、おめでとう。今日は早く帰って一緒にビールで乾杯しようよ!」と言ってくれました。
翌朝、出社すると、やや心配そうにしている部下たちに「今度は物流企画部で頑張るよ!」と元気いっぱいに話しました。すると、「矢崎さんは、今度の転勤を凄く喜んでいる」という噂が、物流企画部の上司や社員達にもいち早く伝わり、着任すると大変に歓迎されました。その後8年間もこの部署で仕事をしており、とても遣り甲斐を持っています。
転勤というのは、受け止め方次第でマイナスにもプラスにもなりますが、大きくプラスにする事が出来たという経験です。

誰もが嫌がる『クレーム対応』をプラスに活かす

私が担当している物流業務の一つに、『クレーム対応』があります。得意先への納品が遅れた時や、間違った商品が納品されると『クレーム』になりますが、その受付の責任者です。2-3件/週のクレームが発生し、営業を通じて私に連絡が入ります。激怒される方もいらっしゃいます。勿論、こちらのミスですので、真摯にお詫びし、3日後には発生原因と再発防止策を文書で提出する約束を致します。『クレーム対応』は怒られ、ひたすら謝るとても辛いイメージがあり、誰もがとても嫌がる業務です。事実、そういう部分もありますが、私は、決してそれだけでは終わらせずにプラスに活かす様に心がけています。再発防止対策などの説明をして得意先の方からの信頼回復を努めると同時に、業務フローの潜在的なリスク・欠点を洗い出し、品質向上へ繋げるチャンスと捉えています。中には、得意先側にも大きなミスがあった事が判明する場合もあり、そうした時は丁重に改善依頼の申し入れを致します。こうした取り組みを通じ、物流部門のミス・クレームはこの数年減少傾向になっています。『クレーム対応』はとても価値高い業務だと益々感じております。余談ですが「矢崎さんにクレーム対応を任せると安心ですね!」とまで言われる様になっています。

プラスに転換させる事を習慣化

2つの事例は、現象としては一見ネガテイブに感じる事でも、積極的な気持ちに切り替えをし『価値・面白味』を見出し、その後の展開をプラスに転換させた体験です。こうした事は日々の生活・仕事の様々な場面で習慣化してきており、以前の私の性格であった『神経質・心配性』とは一変しました。
天風先生は「色々な出来事があるのが人生だ、それをどの様に乗り越えるかが人間の価値だ!」と教えてくれています。私も、その言葉を常に心がけ、これからの人生に邁進して参ります。

矢崎守孝 | 食品メーカー勤務