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私が初めて中村天風を知ったのは、平成10年頃のことです。当時勤めていた会社の社長から『成功の実現』という本を勧められて読んだことがきっかけです。
「自分のお腹が痛いのを隣のおばさんのお腹が痛い様に思えっていうんだよ」と言う文章に衝撃が走りました。
それ以来中村天風の本を必死に読み続け、天風会員となりました。その中で人生を積極的に生きることの素晴らしさ、その方法を教えて頂いたのです。

ストレスに潰されないために自分自身をかばっていた日々

以前私は、椅子やテーブルの製造メーカーで、営業をしておりました。中間管理職ということもあって、会社の将来のこと、部下の育成の事、そして自分のノルマ達成のことと色々課題を抱えておりました。自分なりに必死に仕事をこなしておりましたが、毎日緊張の連続で、かなりのストレスがあり、気が付くといつも愚痴ばかり言っていました。ストレスに押し潰されない為には、ストレスを発散させること、心の中にあるモヤモヤしたものを全部吐き出してしまう事が一番良い方法だと思っていたのです。「景気が悪く会社の業績が伸びないなぁ」「今年の新入社員はさっぱり仕事を覚えてくれないなぁ、やる気があるのだろうか」「何であのお客様は、うちの商品の良さを理解できないのだろう」等々。挙句の果てに「今日は暑くて仕事なんかやってられないなぁ」と自分のやる気がないのを天気のせいにしていました。今思うと、サラリーマン根性丸出しで、「私は一生懸命仕事をしています。悪いのは私ではありません」と周りにアピールしていたのかもしれません。

また、自分の人生はこのまま進んで良いのだろうかという不安も抱えていました。

天風哲学を仕事に生かす

そんな時中村天風の教えを知り、早速実践してみたのです。

初めにチャレンジしたことは、消極的なことばは使わないということです。

当時私は車で営業をしていました。夏の暑い日、車で出かけようと外の駐車場に止めてある営業車に乗り込みます。すると車内はサウナ風呂の様に高温になっています。私は口癖のように、「暑くてやってられないなぁ」と独り言を言いながらお客様のところへ向いました。雨の日は雨の日で「じとじと、じめじめいやだなぁ。スリップ事故でも起こしたらどうしよう」と言いながらお客様のところへ向いました。雪の日は雪の日で、朝から雪かきという重労働が待っています。「朝から雪かきなんて重労働したら、その日一日仕事をする気になんかならないなぁ」と始業時間ぎりぎりに出社していました。

それをこう変えてみたのです。

夏の暑い日、営業車に乗り込みます。その時私はすかさずこう言いました。「夏はこうでなくっちゃ。よし今度の休みは家族で海水浴だ。子供達喜ぶだろうなぁ。この暑さ、休みの日まで続いてくれよ」と。雨の日は、「恵みの雨だ。有難いなぁ。きっと農家の人達は喜んでいるに違いない。今年の秋は美味しい米が食べられるぞ」と。雪の日は「今日は朝から雪かきができる。メタボ気味の私にとっては、いい運動になる。ありがたいなぁ」と誰よりも早く出社して雪かきに精を出しました。

ある大雪が降った日のことです。いつもの様に誰よりも早く一番に出社して雪かきに精を出していました。雪かきが終わり道路の渋滞も収まった頃、何度か営業で訪問したのですが、社長と一度も面談して頂けなかった会社を訪問してみたのです。すると、いつも多忙でお会いできなかった社長が、予定を全てキャンセルして、会社にいらっしゃいました。

そして、「こんな大雪の日に来るなんて面白い営業マンだ。話を聞こうじゃないか」と言って私の話を聞いてくださったのです。社長自ら営業を行っているとのお話も聞け、意気投合してしまいました。そして何度も訪問を重ね、「あなたの薦める商品が欲しい」と大量の注文を頂きました。この事は、自分にとって大きな自信となりました。

その頃から可もなく不可もなく、平均的な仕事ができていればそれでいいというサラリーマン根性が少しずつなくなりました。もっと前向きに、もっと上を目指してという思考に変わっていきました。当然業績も上がり、社長から頼りにされる社員に変貌を遂げました。

魔法の言葉

その頃私は、自分を積極的にする魔法の言葉を見つけていました。我が社のトップセールスマンとの会話の中で見つけたものでした。
仕事で失敗した時、いやな事が起こった時、私は愚痴を言う代わりにこう言いました。
「勉強になった。勉強になった」と。
そして口癖になるまで使い続けました。

するとどうでしょう。それまでマイナスのイメージしかなかった失敗した事やいやなことが、自分にとっての有難い教訓、成長するための試練と思えるようになりました。有難い教訓、試練ですから、そのことから逃げずに何かを学び、次に役立てようと必死に考え実行する様になりました。そうなると最早全てのことに感謝感謝です。私は何と幸せなのだろうという人生になりました。

また、以前は朝起きると何となく憂鬱、何となく仕事がしたくないという気持ちになることが良くありましたが、現在は、具体的な理由がある訳でもないのに、何となく楽しい、何となく嬉しいという気持ちになっています。

人前で笑える自分

私は子供の頃から、人前で大声で笑うことができませんでした。恐らく、人前では恥ずかしいと子供のころから思っていた結果でしょう。いつも口を手で押さえて声を押し殺すようにしていました。その癖は五十歳を過ぎても直りませんでした。ですから私の笑い方は、そういうものと思いこんでいました。

ところが、天風会員になって五年が過ぎた頃の事です。その日初めてお会いしたサークルの方数人と食事をしていた時に、一人の方が言われたジョークに反応した私は、店中に響き渡る声で大笑いをしたのでした。「えっ!?今のが自分の笑い声なのか」と、自分で自分の声に驚きました。その時以来私の笑い声は一変したのです。

中村天風の教えを実践するにつれ、私には自信というものが出来てきました。これまで何か問題が起きると消極的になりがちでしたが、現在は自分という人間に一本芯が通ったように感じます。どんなことが起こっても、私には中村天風の教えがあるのだという信念があります。何が起こっても天風哲学を実践できるチャンスだと思える自分がいるのです。

現在、この素晴らしい教えを東北の人達にお伝えしたいと天風会認定講師を目指してばく進中です。

安倍敏明 | 会社経営