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「中村天風」実践プログラム 報告

【概要】

2019年3月16日(土)~17日(日)に天風会館1Fホールにて、「中村天風」実践プログラムが開催されました。講習会や修練会で学んでいただいた理論を具体的にどのように日常生活に落とし込み、実践に移していくかについて、参加者の方にヒントをご提供して実生活を好転させていただくことをコンセプトにしたプログラムでした。

テーマは、「幸福の実践 ~積極観念を養成するⅡ~」で、お一人お一人にとって「幸福」とは何かを明確にし、それを実現していく方法を模索する内容でした。また、前回の続編という位置づけでもあり、講習会で教えていただく「積極観念の養成法」の5つのポイントのうち、前回においては、①内省検討、②暗示の分析、③対人精神態度の3つを扱ったところ、これに引き続き、今回は、④苦労厳禁、⑤正義の実行について、それぞれ個々に深く掘り下げました。

大きな特徴としましては、ただ一方的に受け身の姿勢で受講するのではなく、主体的な姿勢で、話し、聞き、考えて、書いていただくということにありました。それに付随して、必然的に参加者同士の交流もかなり密なものとなり、非常に和やかな雰囲気の中で、大いに懇親を深めていただきました。参加者の方の笑いとエネルギーに終始包まれた印象の2日間だったと感じております。

 

【主なプログラム内容】

1.講義

萩原いづみ講師、村里泰由講師、山田真次講師、吉田章人講師の4名の人気講師にご担当いただきました。今回の講義も前回同様、その後の実習とでワンセットという位置づけでした。各講師とも工夫を凝らされ、「本当に分かりやすかった」「タメになった」といったお声を多数いただきました。

2.実習

(1)積極言葉の実習
「積極の実践」についてのご講義の後には、実際に他者に積極言葉(褒め言葉)をかける実習をいたしました。最初は戸惑い模様もありましたが、時間が進むに連れて盛り上がり、褒める方も褒められる方も本当に素敵な笑顔になられているのが印象的でした。

(2)ワールドカフェを中心としたグループディスカッション
1日目の「苦労厳禁」、2日目の「正義の実行」についてのご講義の後には、これらを題材としたグループディスカッションを行いました。グループディスカッションは、主としてボールを持った人しか話せないことに大きな特徴があるワールドカフェという方式によりました。多くの方との交流ができると同時に、他の参加者のお話を、自分の現状の課題を解決するヒントとして吸収できる場となりました。

※ワールドカフェとは … アメリカ発の話合いの方法です。異なる4~6人のメンバーにて、 3回のグループディスカッションをし、新たな気付きを得て、考えを深めます。明確な答えがあるものではありません。話したい人がボールを持ちます。ボールを持っている人しか話せませんので、会話があちこちにいくことが少なく、集中した話合いができます。さながら、「自由なカフェ」のようなイメージで、 コミュニケーションを楽しむことができます。

(3)発表
ワールドカフェでのグループディスカッションをもとに、2日間で、総計20名程の方に2分ずつの発表をしていただきました。参加者は、他のグループで話された特に印象的な情報を聴き、自分の問題解決のヒントとすることができると同時に、発表していただいた方には、大勢の人の前で短時間にて要点を話す訓練をしていただくことになりました。また、講師の方の的確なフィードバックにより、さらに理解を深めることができました。

(4)ワーク
プログラムの最初において、今回のテーマである「幸福」について、参加者一人ひとりにとっての幸福とは何かを確認していただきました。そして、プログラムの最後には、プログラムで学んだことを踏まえて、再度幸福とは何かを再確認していただき、今後の行動リストを作成いただきました。 これらにより、参加者の方には天風会館を出たその瞬間からのそれぞれの行動の方向性をより良い方に転じていただいたのではないかと期待しております。

3.その他

「日常生活に落とし込む」というコンセプトのもと、その他の部分についても、普段の行修とは少し違った色合いとなりました。

安定打坐法は、正義の実行には本心・良心が大切であるところ、これを煥発する手段として、吉田講師による解説と実習を50分かけて行いました。また、2日目の始めは、朝礼はあえて行わず、その代わりに皆で誦句を唱える時間をとりました。そして、昼食時間や懇親会は、単なる食事や休憩の時間ではなく、講義・実習で学んだことを落とし込み、実践する場となりました。

中村天風実践プログラム 実行委員