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過去に仕事上の人間関係に悩み、うつ病を経験。家族のサポートを受け、病を克服。その後天風哲学と出会い、これまで当たり前だと思っていたことが実は当たり前でないことに気付き、全てのことに感謝の気持ちが持てるようになり、幸せな日々を過ごしている。

真剣に自殺を考えていた日々

みなさんは、「自分は今、幸せな毎日を過ごしている」と自信を持って言えますか?

その問いに対して、今の私は力強く手を挙げることができます。

2010年 、たまたま雑誌の広告で見かけた「潜在能力開発講座」への参加がきっかけで天風会に入会した私は、今、幸せという言葉を一日のいろいろな場面で実感しながら暮らしています。もちろん、生活していれば、日々多少のアクシデントはありますが、それでも、人生はこんなに楽しいものなのだと、今は心から思っています。

さて、そんな幸せいっぱいの私ですが、今から15年ほど前には、真剣に自殺を考えた時期がありました。

それは、私が会社で管理職に任用されてしばらくしてのことでした。職場でパワハラ的な言動を繰り返す上司との人間関係が原因で、夢にも考えたことのなかったうつ病に自分がなったためです。

うつ病は、生涯で15人に1人は罹かる病と言われており、この体験談を読まれている方の中にも、うつ病を経験された方がきっとおられると思います。

当時の私は、子どもたちとの時間をとても大切にしていて、休日になれば家族4人で公園に出掛けて丸一日過ごすというのが日課でした。同時に、父親としての喜びを味わいながら、幸せの真っ只中にいました。

ところが、うつ病になってからは、休日は自宅から一歩も出られなくなりました。家族を外出させて自宅に一人でいると、自分には生きている価値などない、早くこの世から消えてしまいたいといった思いが頭の中を巡り、次から次へと涙があふれてくるのです。そして、どうやったら家族に迷惑を掛けず、苦しまずに死ねるのだろうと毎日のように考えていました。

しかし、さすがにこれは様子がおかしいと思ったのでしょう。妻の勧めもあり、メンタルクリニックで診察を受けることにしたのですが、その当時は、精神疾患に対する偏見もまだ強く、わざわざ自宅から遠く離れたクリニックへ通ったりしました。

うつ病を発症してから、とにかく誰かと話すこと自体が大きな苦痛となっていましたが、管理職である手前、会社や部下には知られまいと、休職はせず、重い足を引き摺るようにして出勤を続けました。昼休みに、誰もいない会議室で仮眠をとるのが唯一の救いでした。

経験された方はわかると思いますが、うつ病になると、まず物事の判断が全くできなくなりますし、何しろ、何かを考えようとすると、みぞおちのあたりがズンと重く、苦しくなってくるのです。医者から処方された薬で、確か4~5ヶ月ぐらい治療を続け、何とか普通の生活ができるようにはなりましたが、自分にとっては本当に辛く、苦しい体験でした。

小さな感謝の積み重ねで大きな幸せが訪れる

さて、過去にそんなことのあった私ですが、今は本当に幸せでいっぱいです。別に、10億円の宝くじが当たった訳でも、会社で役員になった訳でも、息子たちが東大に入った訳でもありません。

ただ、 ある時から、これまで当たり前だと思っていたことが実は当たり前でないことに気付き、その一つ一つに感謝の気持ちが持てるようになったことがキッカケで、どんどん幸せが実感できるようになったのです。

実は、これには科学的な根拠があることを最近知りました。

それは、「3:1の法則」というもので、ポジティブなことを考える回数がネガティブなことを考える回数を上回り、その比が4:1、5:1と3:1を超えてくると、まるで加速するようにどんどん幸せを感じるようになるのだそうです。そして、特に感謝の気持ちでいる時は、ポジティブに考える回数がぐっと増えて行きます。

多くの人は、この比が2:1ぐらいだそうですが、うつ病になると、これが0.5:1に低下し、さらに気持ちが落ち込むと、これが0.1:1ぐらいになってしまい、最悪の場合は自殺につながります。

ところが、今の自分は、3:1どころか、10:1、20:1といった感じでポジティブなことがたくさん頭に浮かびます。例えば、毎朝、出勤途中に歩きながら、今日も目が見えて幸せ、朝が涼しくて幸せ、自分を必要としてくれる職場があって幸せといったように、感謝の気持ちで心が満たされます。

ですから、もし、今何かに苦しんでいる方がいたら、このような私の体験からぜひお伝えしたいことがあります。

それは、「例え今は苦しくても、必ず終わりは来る」「そして、自分の身の回りにある恵みに気付き、それに感謝することで、どんどん幸せになれる」ということです。

ところで、私たち天風会員にとっての身近な恵みと言えば、その一つは日曜行修会ではないでしょうか?

私は、日曜行修会が大好きです。なぜなら、会員の皆さんと一緒にいると、自分の心がさらに明るく、前向きになれるからです。また、その行修会を運営している方々の献身的な姿を見る度に、大きな感謝の念が湧いてきて、さらに幸せを感じることができるからです。本当に有り難いですね。

この度は、「感謝、感謝で、どんどん幸せになれる」という自分自身の体験をご紹介させていただきました。この話が、何らかのご参考になれば幸いです。

男性|会社員
(2020.1.31掲載)