中村天風財団が出版している本はたくさんあります。 その中で私は次の5冊をお勧めしたいと思います。
①『運命を拓く』
②『図説・中村天風』
③『真人生の探究』
④『いのちを活きる』
⑤『研心抄』
①から⑤の順に読まれることをお勧めします。簡単にこの流れを説明すると、まず①の『運命を拓く』は天風先生がインドヒマラヤで経験した厳しい難行苦行から得られた体験的真理を基に、かつての真理瞑想で語られた真理の数々をまとめています。ですからこの1冊を読むことで、「天風哲学とは」の概要を摑むことが出来ると思います。先生の講演内容を文字にしていますので、読みやすいのが特徴です。詳細な哲学内容やその方法などをいきなりお読みになるよりも、私は天風師の数奇な運命を共に旅すると言う共通体験的な味わいをまず味わってほしいなと思っています。
②一通り先生の真理瞑想を読み込まれれば、その本人の生い立ちや、運命の旅などの現地に自分も旅してみたいと思われるでしょう。また天風師と言う人物がどんな人だったのか、人間天風の実像を知りたいと私たちは思うものです。それには歴史事実を考証したこの『図説・中村天風』がとてもいいと思います。
③以上の2冊をお読みなれば、おのずと天風哲学とはどのようなものなのか、その体系をどうしても知りたいという気持ちになります。そのとき読む本が、三部作と言われる中の基本になる『真人生の探究』です。先生の考え方はこの本の中にすべて埋め尽くされています。ただ言葉が旧仮名遣いであったり、今はあまり使わなくなった歴史的な表現などがふんだんに出てきたりして、現代の特に若者には正直言って読みにくいところがあります。然し読み込んでいくと、とても味がある格調高い言葉や、諺など珠玉の言葉が散りばめられていて、慣れればとても響きのいい書物だと納得されます。
④第4代会長の杉山先生が書かれた本が、『いのちを活きる』です。これは天風先生の真人生の探究を現代語でしかも私たちにとても分かりやすく解説された本です。真人生の探究を読んだ後に、この本を読んでみると、なるほどそうかと合点がいくのです。
素晴らしい解説本といえます。
⑤一通り天風哲学が理解できたところで、ぜひレベルアップをされることをお勧めします。それが『研心抄』です。心の微妙な働きについてとても高い哲学的内容を解説してくださっています。内容は『悟り』への道そのものです。簡単に歩める道ではないのですが、先生は一歩ずつ手を取るように、心の微妙な働きについて教えてくださいます。
後はご自分の行修体験の中で、先生の言われることを体験的に確認していけばいいのです。時間はかかりますが、これが王道です。真理の道にはJumpやshort pathは無いのです。本当の真理をひとつずつ自分のものにしていきましょう。