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1. 箴言註釈『叡智のひびき』とは・・・?

箴言註釈とは、中村天風が1ヵ月間の私たちの毎日の生活の指針として与えられたカレンダー様式の31項目の「天風箴言」について、中村天風自身が註釈を述べられたものを一冊にまとめたものです。「箴言」とは、“戒め”の言葉であり、常に“心掛けておく事”です。その「箴言」について、1項目ずつ、分かりやく丁寧に説明してくれているのが、この本『叡智のひびき』です。

(『箴言カレンダー 黒』31項目の天風箴言がおさめられています)

読んでいくと、「あっ、この箴言で中村天風が伝えようとしたのは、こうした事だったのか!」、
「今の悩みを乗り越えるには、こうした心がけをすればいいのだな!」という事が必ず掴めるはずです。
つまりこの本には、生き甲斐のある素晴らしい人生をおくる為の、まさに“叡智(優れた知恵や勇気)”が凝縮されており、読み進める事で、その叡智が心に“ひびき”わたってくるのです。

2. 初心者からベテラン会員の方にも、是非、お薦めの1冊です

① 天風哲学で教えてくれている実践のキーワード「積極心」「感謝」「怒らず、怖れず、悲しまず」などについて、生活の場面など具体的な事例を含めて、説明してくれています。だから、初めて天風哲学を学ぶ方にも解りやすい内容です。
② 又、天風哲学の基本的な考え方が書かれた中村天風の著書『真人生の探究』を、より深く理解するのにもとても役立ちます。ベテラン会員が更に実践を深める為にもお薦めします。
③ 1項目の箴言註釈は、6-8ページですので、ちょっとした空き時間や、就寝前の2-3分に、好きな箴言を読み返すにも最適です。

3. 「あっ、そういう事だったのか!」と、私が気付く事ができた、箴言註釈

31項目の箴言註釈はどれも貴重なものばかりですが、その中でも、私が特に大事にしている箴言は次です。

箴言一
「天風教義の積極心というのは恒に心の平安を確保する事であるが、
同時に如何なる場合にも寛容である事を忘れてはならない」

【註釈より抜粋】自分に対しては、常に厳然として自ら慎まねばならぬことは何よりも大切なことであるが、自己以外の人に対しては、あくまでも清濁併せ呑むという寛容さを失ってはならない

天風会員になり教義を学ぶと、心が積極的にどんどん変化しますが、私はその積極心を周囲の人へ求め強要する様になってしまった時期がありました。でも、周囲の人はなかなかその様にはならないものです。それに苛立ち、不満を抱く様になり、その人たちの関係がぎくしゃくし、結果的に自分の心も乱れてきました。
この箴言と註釈は、そうした自分の心は積極心ではなく消極心なのだと戒め、気付かせてくれました。
今でも、油断をすると“寛容さ”を忘れてしまいそうになる時がありますが、だからこそ、この箴言を常に心に留めています。

4. 生活の中で、箴言註釈『叡智のひびき』の実践を心がけて・・・・

中村天風の本はどれも一度読んで「解った、自分はもう大丈夫」というものではありません。
理屈で理解した事を、日常生活の中で意識して実践して、習慣化して身に付けていくものです。
だから何度も何度も繰り返して読み返す事が大事です。
特に、何か困難や試練にぶつかった時に、又、この本を開けばそれを乗り越える為のヒントが見つかるはずです。
「何かあるのが人生。そして、人生は心一つの置き所です」
是非、箴言註釈『叡智のひびき』を心にきざみ、日々の生活の中で活かして参りましょう。

中村天風財団(公益財団法人天風会)認定講師 矢崎 守孝
(2020.6.25掲載)