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私の一日は卓上に置いた箴言カレンダーをめくることから始まります。

この箴言カレンダーは中村天風が創建した心身統一法の見地から、毎日の生活の指針として、短いながら重厚で、深い示唆に富む文章になっています。世間でよく聞く言葉も、背後の深い意味を理解させてくれます。

この31日分の日めくり箴言カレンダーを朝一番に進め、新たな気持ちで今日の言葉を読んでみるのです。1か月ごとに同じものが出てくるのですが、何年やっていても新鮮な気持ちで読むことになります。不思議なのは、日によって「あれっ、これはどういう意味なのかな」とか、心に響く調子が異なることがあったりして、一瞬、見入ってしまうことがあります。「本当にそうだなあ」とあらためて思ったり、「そうか、そういうことだったのか!」と合点がいったりします。また、いつも見ていて解っているつもりなのに、「はて、この言葉はどういう意味で使っているのだろう?」などと考え込んでしまうこともあります。

そうすると、箴言カレンダーのすべての項目の解説が詳しく載っている『叡智のひびき』を引っ張り出して改めて勉強することになるのです。

また、箴言カレンダーからぴしゃりと正されるような気持になることも結構あります。

「何事を為すにも報償を超越してそれを自己の責務なりと思うて行う時其行為は尊とい(箴言2)」を見ると、自分は当たり前のこととして自然な気持ちでやっているか、人から褒められたいからやっているのではないか、もっと突き詰めると、なにか形ある〝成果″を期待しているのではないか、と自分に問う厳しい言葉に見えてきます。また、「積極という事は余程注意を慎重にしないと得てして制約のない楽天主義になる(箴言17)」には、何度見ても、自分に「お前は大丈夫か?」と襟を正し、「自分の心の中に何かの悩みがあるならば先づそれは「取り越し苦労」か或いは「消極的思考」かの何れかである故に入念に省察すべし(箴言3)」には、ハットさせられ、あらためて『叡智のひびき』を読んでねじを巻くことになります。

この本と対になっている『真理のひびき』も31項目になっていて、こちらも、毎日ひとつずつ読んでいます。初めて「真の平和の世界を作為せんと欲するものは先づ個々の家庭平和を確立することを実行すべし(天風箴言11)」、を見た時、ずいぶんおおげさな言い方だなと感じたことを覚えています。世界平和と家庭とどうつながるのだろうかと思ってその解説の載っている『真理のひびき』の該当するところを開くと、その中に「真の平和生活のでき得ない人々が相集まって結成した社会国家が、どうして真の平和を期成することができるであろうか」とあり、なお詳しく読んで行くと、家庭生活の大事さが納得できます。常に「人をつくる」という心身統一法の根本につながる大事な事項であることを再確認することができました。その後だいぶたってからのある時、家族にいろいろ課題を抱えていながらも、無理して天風会の行事に参加している人に、「家族が一番大事なんだから、今は家庭にいることを優先したらどう?」、と言ったこともあるくらいです。

特にカレンダーの形になっているので、同じことを何度も読んでも、自分が受ける印象や、そこからの発想が変わることをいつも新鮮な気持ちで味わうことになります。日常的に目にとめるようにし、心身統一法を身近なものにするために、『箴言カレンダー』『叡智のひびき』『真理のひびき』をセットにしてそばに置いておくことをお勧めします。

中村天風財団(公益財団法人天風会)認定講師 伊藤 秀樹
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(2020.7.2掲載)