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『成功の実現』を読んで中村天風を知り、転職と同時に天風会入会を決断しました。
自分の潜在力を引き出すための心への対処法、身体への対処法という実践的、具体的な方法論がある天風哲学に魅力を感じています。
天風哲学を学べば学ぶほど、「いかなる場合にも積極的な心構えを保持して、堂々と人生を活きる」自分へ変化していくことを感じました。
今は、一生心身統一法を実践して、真の世界平和に貢献できればと考えています。

中村天風との出会い

私が40歳くらいの時は心が弱く、仕事の取り組みにも悲観的でした。最初に中村天風を知ったのは、『成功の実現』を読んだことでした。本を読んだ時天風会への入会も考えましたが、中村天風がすでに逝去し、弟子たちが指導しているということだったため、当時は本を読んで、素直に納得しているだけでした。私が天風会に入会したのは、本を読んだ10年ほど後で、当時勤めていた秋葉原の電気店を辞めた直後、2004年5月のことです。日曜日に休みが取れるようになったので、今度は入会しようという決断しました。
さっそく8月の夏期修練会に参加しました。最初は「積極」の意味すら分かりませんでした。先輩たちの指導を受けて、朝礼や体操、誦句を暗誦することが日課でした。最初の1年は無我夢中、正直言って何をしているのか、自分でも判らない日々でした。
その中で、大学1年から中村天風の直弟子だった伊藤秀樹講師から教わり始めて、本格的に理解が深まり、また友人もたくさんできました。

天風哲学の魅力とは?

「これは良さそうだ」と思ったのは天風会の話が、自分の潜在力を自分で引き出すための心への対処法、身体への対処法という実践的、具体的な方法論があることでした。そもそも天風会は「公益財団法人」。目標はただ一つ「自分が本来、持っているにもかかわらず、忘れている生命の潜在力を引き出し、幸福を追求すること」です。自分の潜在力、自分の力を信じるという単純明快さがありました。今までの鬱々とした自分が、どうしたら日々を強く、明るく、楽しく生きることができるか、具体的なノウハウ、ハウツーがありました。一言で言えば天風会の「積極人生を築く」という話に惹かれたのでした。

「心身統一法」という具体的なメソッドの効果は高く、あとから考えると、もっと早く天風会に入会しておけば、入会前までの仕事でのミステイクは半分以下になっていただろうと悔やまれました。後から『成功の実現』を読み直して見ると、具体的なメソッドが書かれていたにもかかわらず、それには気づかないで、こんな素晴らしい体系的メソッドがあったのだと気がついたのは、実際に入会し実践してからでした。

天風哲学を学んでからの変化

1年が過ぎた頃になってやっと体操が一人前にできるようになりました。また天風哲学の基本である「心身統一法」についても勉強を深めました。いかに「行修」として日常生活に取り入れて活かすかを学び、考えました。「いかなる場合にも積極的な心構えを保持して、堂々と人生を活きる」。天風会ではいろいろな形で講師や先輩の話を聞きました。行修会は月1回、また合宿は各地であり、最初は年に何回も参加しました。各講師によって、体験談など具体的な話に個性がでるので理解が深まりました。行修会でまず、気づいたのは「みんな明るい」ということでした。暗い話はまったく出ません。いつも前向きの話でした。また夏の暑い日でも「暑いですね」などという消極的な言葉は使わず、「気温が高いですね」といった表現にするような気遣いが刺激になりました。

また「誰もノーと言わない」ことにも気づきました。よっぽど無理なことはさすがに断りますが、時間と体力がある限り、頼まれたら断らないことが原則でした。3年目の夏期修練会から「班長をやってほしい」と言われて断らず、12年連続で班長を担当しました。「初参加新人さんを大事にしよう」など、これまでの経験から気がついたことをいろいろまとめた班長マニュアルを作ったので、今は卒業させてもらいました。おかげで決して消極的な言葉は使わないで、人のためになることをしようと考えられるように自分が変わりました。

「ザルは水に浸かっていろ」。
入会当時、この言葉に私は救われた気がします。読書会で本を読んでも、講演を聴いても、すぐ忘れてしまいます。「自分の頭は、水がザーザー漏れるザル。なかなか覚えられないし、身にもつかない」。そんな私たちに向けて中村天風は、「それなら、こぼれないように、ずっと水に浸かって入ればいい(会合に参加すること)」というわけでした。たまたま私の別の先輩が「千葉の会」を最近立ち上げたので、私はそちらの会に移籍しました。月1回、千葉に出かけて、ザルながら教えを学んでいます。

入会して数年たって、安定打坐をすることなどで、いつしか自分が変わっていくのが判るようになりました。例えば、未来に対する漠然とした不安、取り越し苦労が消えていった感じです。夏期修練会の後など、安定打坐をした後は頭が冴えて、カンがよくなる気がします。コピーを10部刷ろうと思って、念のために12部刷っておくと実際、来た人が12人だったこともありました。「自分はなんてカンがよくなったのだ」と我ながら驚きました。このような経験から、いざとなったら「安定打坐して判断すればいい」のだと思えるようになり、その結果、「取り越し苦労」が減ったと思います。これを「安心立命」というのでしょうか。

また寝る前に暗いこと、消極的なことを考えません。子供に聞かせて寝付かせるお伽話のように、寝がけは潜在意識に直接働きかけられる時間帯なので、明るいこと、楽しいことだけを意識して考えます。「今度は久しぶりに映画を見に行こう。食事はあの美味かった蕎麦屋にまた行って見よう」などと、しょうもないことでも、楽しいことを考えながら寝ます。すると普段でも暗いことを考えないようになるようです。そのため寝がけは明るく楽しい心持ちで寝ることを心がけています。

「力の誦句」には大変お世話になっています。これを声に出して唱えると勇気が湧きます。ちょっと弱気になりそうな時は、必ず声に出して唱え、心を前向きに整えます。

心身統一法の中で一番重要なのが「クンバハカ」と呼ばれる方法です。私にとって「怒らず、恐れず、悲しまず」のうち、「怒らず」が一番難しいです。とくに目下の者と対応した時が要注意です。ある時、娘に腹が立ちました。すぐさまクンバハカしたことで、「怒り」は収まりました。また事務所での東日本大震災の強い揺れにも、すぐにクンバハカできました。この時は周囲を見ながら、次の処理が冷静に頭に浮かんだので、クンバハカは素晴らしい方法ということを実感しました。

一生心身統一法を実践する決意

心身統一法を毎日の日常生活で行うことにより、どんどん心が強くなり、我々は「安心立命」という境地に導かれていくのだと思います。天風会の究極の目標は、積極的に人生を生きて、人間本来、全員が持っている本心・良心を発揮し、同じ考えを持つ兄弟姉妹を増やして、この世から争いごとを無くし、真の世界平和に貢献しようということにあります。
終身会員として一生、死ぬまで心身統一法を実践して、目標に貢献できればと決めています。

松波道廣|会社経営