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2019年10月6日(日)名古屋駅すぐ近くのウィンクあいち9階の会議室で、100周年記念講演「君に成功を贈る中村天風の教え」と題した講演会が開かれました。名古屋の会では100周年を記念して、長く天風哲学を学び、実践して人生を切り開いて来られたお2人の方にお話しいただき、人生をどのように生きるか、そして天風哲学を広く一般の方にも知ってもらえる機会にしようと講演会を企画しました。

講演は3部構成でした。
第1部:会員で株式会社花ごころ代表取締役の小塚純一さんの講演
第2部:中村天風財団講師で名古屋大学名誉教授の御橋広眞講師の講演
第3部:講演者二人の対談と、会場からの質疑応答
143名の参加者があり盛会となりました。

企画を担当した山中さんの司会のもと、名古屋の会松田副代表が挨拶を行い、早速第一部の講演が始まりました。

第1部 小塚純一さん「天風会で学んだ、育てることは学ぶこと  日常に生きる天風先生の教え」

小塚さんはまず自己紹介の中で、、
・家庭園芸盆栽肥料からスタートして肥料を50年販売する会社を経営していること。
・盛和塾で20年以上学び、稲盛名誉会長の求めたる所以を求めて、天風会の門を叩いて14年になること。
・自社ビルを建てるまでに伸びた創業期から、次第に社内に歪みが生じ業績が停滞気味で伸びなくなったこと。「おかしい、良いことを学んでいるはずなのに、なぜ?」という気持ちから、日々真剣に、天風哲学の実践(最近言われるところのセルフマネージメント(自己陶冶)やマインドフルネス(平常心、心のコントロール)の実践)に取り組むうちに、次第に経営が安定成長し、家庭も円満になったこと
を話されました。


(小塚氏)

天風会入会3年目に御橋講師からいただいた言葉「他人は気にせず自分を観よ」を徹底されており、こんなエピソードを紹介されました。

『聞くことは伝えること』。
小塚さんのお父様は元気一杯で頑固一徹、90歳になっても車を運転して自らが建てた工場に通われますが、さすがにそろそろ運転は控えて欲しい。「言ってダメなら寄り添おう」。小塚さんが運転をしてお父様を工場へ送り、その道中、話を聞き続けるうちに心が通い合い、見事にお父様の頑固さが消えたそうです。さらに送って行った先の工場のトイレを掃除して帰っていたら、工場の社員にも協力的な雰囲気と感謝が生まれたと話されました。

『人を育てることは学ぶこと』。
会社の経営は夫婦生活に似ていて、人生の長い時間を過ごす仲間と豊かで充実した生活基盤を作り、関わりのある周囲の方々と豊かな気持ちで過ごすことが重要である。そのために経営者はメンバーの成功への情熱と関心を最大限に生かす努力が必要で、それには日々自分を省みて、いかに他者に対して怒り・恐れ・悲しみの煩悩の火を燃やさないようにするかに尽きる。自分を磨くことが周囲のエネルギーを上げ、それが次の世代にも伝播して明るい未来を作って行く。

講演はそんなメッセージで締めくくられました。

第2部 御橋広眞講師 「『見えるもの』と『見えないけど有るもの』」

第2部の御橋講師の講演は、第1部の講演を受けて、天風先生が青年会で言われた言葉「人に好かれる人間になれ」、そして「人を好きになる人間になれ」をまず紹介されました。これが難しい、自然になるなんて生易しいものではないですよ、と言われました。

そして、自己紹介を兼ねつつ、生い立ちから天風先生との出会い、その頃の天風会の様子について臨場感たっぷりに話され、当時は厳しいだけでなくそれを見守る力もあった。鍛える場と見守られている安心感の中で人は育つのだと話されました。


(御橋氏)

それから、表情というのは肝心の自分には見えないが周囲には見える。表情を見てお互いの気持ちを感じる。本当に安心して何でも話せるのは不安感を与えない人間同士。にっこりとした笑顔で親子、家族と話をする、1日に1回でいい、そういう時間を持って欲しい。自分がニコッとしたのが相手に感染するように、これを抜きにして人間関係を作ることは“無理”とおっしゃいました。

そして最後に、過去と他人は変えられない、変えることが可能なのは自分だけ、自分を変える方法が積極心(明るく朗らかに生き生きと)であり、それによって未来を変えることができる。これが天風哲学の基本であり、人間を人間らしくする唯一の方法である、とお話を締めくくられました。

第3部 講演者による対談、質疑応答

第3部の対談は松田副代表が進行役を務め、話は宇宙から植物、人のご縁まで、まるでひとつながりのもののように広がりました。そして質問コーナーでは、講演内容の理解を正確にするための鋭い質問や、「従業員に思いが伝わらない」「身内に好きになれない人がいる」など<分かってはいるが実際にどうやって?>という率直な質問が、次々と挙がりました。その一つ一つに対し、講演者のお二人が親身になって答えることで、今回の講演内容の理解をさらに深めることができました。


(左より 松田氏、小塚氏、御橋氏)

最後に「天風哲学は実践哲学です。実践を体験するためにぜひ名古屋の会の活動に来てください」と質問コーナー進行役の高御堂さんが今後の行事予定を紹介して閉会となりました。

創立100周年記念事業 東海ブロック(名古屋)実行委員
(2019.11.20掲載)