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2019.01.19

中村天風100周年記念公開セミナー

「人の喜びをわが喜びとする」

 

天風会が創立して本年が100年目となる新年最初のセミナーとして、中村天風100周年記念公開セミナーを1月19日・26日の全2回、天風会館で開催いたしました。

今回は特別ゲストとして、新刊『感動の創造 新訳 中村天風の言葉』を上梓した感動プロデューサーⓇ平野秀典氏をお招きし、ご講演いただくという貴重な機会となりました。

天風会会員でない方も大勢がご参加くださり、両日ともに全席満席で閉幕いたしました。

 

第1回テーマ(2019.01.19)

【信頼のきずな Engagement】

 

 

1 大島誠氏による講義

 

2018年4月開催「天風哲学入門(ビジネス編)」にもご登壇いただいた、天風会会員で三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社・国際情報営業部長の大島誠さんから、「人の活かし方」についてお話いただきました。

「人を活かす」上で大島氏が強調されたのは、「信頼の絆」がある場を生み出す上での「個人面談」の大切さでした。信頼関係がある職場にいる人は、幸福感が高く、創造性や生産性が高くなるという事実からもその重要性は裏付けられているそうです。

実際には、天風哲学に接して、人間は、世の中の進化向上に貢献する使命を持っていること、それは自分だけでなく周りの人も同じことという2つの気づきが信頼を生み出すことに役立ったそうです。なぜなら、接する人すべてが世の中に貢献する役割を持っているなら、怒りや嫉妬に囚われず、素直にお互いに高め合っていくことに集中すればよいからです。どちらが先に進化しても構わないと思えば、相手の成長に自然と笑顔も出てきます。

天風氏のこの教えに加えて、海外勤務中に信頼していた部下が現地の風土病に倒れたことで、「今ここ」をさらに意識して社員と面談するようになったとも話されました。

その結果、周囲の人の成長を支援し、感動する中で、信頼関係がますます強固になり、会社のメンバーがまるで家族のように感じるほどの経験を積み重ねることになったそうです。

天風哲学の説く積極的態度が、信頼を生む第一歩であることが感じられる講義でした。

 

2 天風会・吉田章人講師による講義

 

天風会吉田章人講師は丁寧な解説が全国の講習会などでも好評な講師ですが、当日は「天風哲学入門 眠る力をよび起こす」と題した講義でした。

吉田章人講師は天風会に学生時代に入会されましたが、天風哲学でいう潜勢力が発現する前までは、「高校生時代は人前で話すなんて死んでも嫌だ(ましてや講師になるなんてありえない)」という性格であり、天風会に入会しようと事務局を訪ねるものの、足がすくんで玄関で帰ったという、今の御姿からは想像もできないかつてのエピソードを打ち明けてくださいました。

とにかく自信がなく、将来の見込みさえ立たなかった自分も、天風会に入会して熱心に心身統一法を実践し始めると、周りからの応援によって自信をつけ、自分自身でも信じられないくらいに変化をし、将来の進路選択、就職難なども様々な幸運をつかんでいかれたそうです。

「天風哲学という高級車に、私は乗り続けています!」、冒頭のご挨拶では天風会会員が一同大変ほほえましくお互いの顔を見合わせて喜んだ場面もみられました。

 

3 感動プロデューサーⓇ平野秀典氏による特別講演

 

平野秀典氏からは、天風哲学を21世紀に生きる人たちへ伝えるための、新しい表現方法を実践していただきました。

100周年記念出版として上梓された『感動の創造 新訳中村天風の言葉』(講談社)の章立て(真善美・絶対積極・本領発揮)が、その鍵となることや、天風哲学をドラマや演劇で例えるという視点が、一般の参加者、天風会員双方にわかりやすく伝わって行きました。

たとえば、天風先生が大切にされていた「真善美」については、人生ドラマのメインテーマとして、自らが主人公の脚本を書いていくこととし、「絶対積極」については、心や行動を客観視するために、演出家の立ち位置になって、心と体を最高の自分を表現する道具として使う「本領発揮」の方法を伝授いただきました。

そして、天風哲学で言う「潜勢力」を、人間にもともとある「標準装備」と表現され、「ないものねだりよりあるもの磨き」とし、その磨き方として、全員で行う実習も取り入れていただきました。

それは誰にでもできるようなこと、例えば「ありがとうございます」という一言、拍手にもその人の本心良心が表れてくること、だから心を込めて自分ができることを自分のおかれた場所(舞台)で実行していってほしいというお話がありました。

上向きに顔を上げて言う「ありがとう」と下を向いていうそれとはまるで違い、拍手にも相手を喜ばすことができる拍手と、がっかりさせる拍手とがあることを忘れないでいようと感じさせられました。

中村天風も握手ひとつも疎かにするなということを述べていますが、平野秀典氏からも心を込めて自分の言葉、行いなどを表現することで、信頼を培う努力を続ける大切さを学びました。

当日の平野秀典氏によるサイン会は長蛇の列で、懇親会でも感動を分かち合う皆さまの笑顔が印象的でした。

●平野秀典氏・最新刊
『感動の創造~新訳中村天風の言葉』(講談社)
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★後編(2019.01.26)のレポートはこちら