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2019.01.26

中村天風100周年記念公開セミナー

「人の喜びをわが喜びとする」

 

第2回テーマ(2019.01.26)

【前向きから上向きの時代へ】

 

 

1月26日、中村天風100周年記念公開セミナーの第2回目が開催されました。

 

1 大島誠氏による講義

 

前回に続き満席の会場の中、第1登壇者の大島誠さん(天風会会員で三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社国際情報営業部長)による講義「自分を活かす方法 言葉を選んで人生建設~言葉であなたの思考は変えられる」からスタートしました。

冒頭、「天風哲学のどこに魅力を感じるか」について、大島さんから、幸福な人生を建設する具体的な実践方法が体系立てられているところだというお話しがありました。「幸福学」などの最新の研究分野で、私たちが人生に幸福さを感じる要因として、「自ら主体的に行動を起こすこと」があるということが明らかになっているそうです。

天風哲学は「実践哲学」と呼ばれますが、具体的な行動例とその習慣化を自ら起こすことで幸福度合いを高めることが、科学的にも証明され始めているようです。また幸福度に行動の大小は関係せず、小さな一歩であっても計画したことをまずはやってみることが幸福な人生建設の一歩になるということも、その研究成果では明らかになっているとのことでした。

次に、行動のなかでも「よい行動」を習慣にしていくことが、幸福な人生建設につながるということも教えてくださいました。「よい行動」を私たちが選択できるとき、その前提には「よい思考習慣」を身につけている必要があります。「よい思考の基礎」が「言葉」であり、言葉の捉え方、話しの聞き方がよい思考、すなわち「ポジティブな思考」を生み出すことにつながるということも教えてくださいました。

また、言葉の受けとめ方、聞き方を磨いた結果、思考習慣を変えていった経営者として、稲盛和夫氏(京セラ創業者)や松下幸之助氏(Panasonic創業者)をご紹介くださいました。
松下電器の草創期に松下幸之助氏は天風会の門を叩いており、中村天風の講演録『君に成功を贈る』で松下氏の様子を次のように述べています。「人間のもっている素質で偉くなる人と偉くならない人が決まっているようだけれども、実はそうではなく、偉くなる人は同じ話を聞いても、聞き方・受け取り方が全然違い、自分の人生にどう応用するかというその違いだけだ」。当日は、天風会の門を叩いてから後も、松下氏が話の聞き方・受け取り方を応用させ、経営難を乗り越えていったエピソードをご紹介してくださいました。

大島さんご自身のエピソードとしては、前回のセミナー時に、部下一人ひとりと面談をし、社員一人ひとりがお互いにかけがえのない存在であると感じあえる時間をより長く味わえるよう、上司としてかかわり続けたことをお話してくださっていました。

今回のセミナーでは、面談以外の時間にも積極的な言葉(夢や目標という次の行動の動機づけになるような言葉)を意識的に発してきたこと、そのような社員教育、モチベーションアップに向けた行動が、部下との信頼関係構築につながっていたことなども教えてくださいました。

それによって培われた信頼関係を表す思い出として、海外現地法人の社長を離れる際、部下の方々からメッセージアルバムが贈られたこと、その中に「将来にわたる家族として、私たちのことを思い出してほしい」というメッセージがあったことも教えてくださいました。メッセージアルバムはこれからも、大島さんの宝物として生涯大切にしてゆかれるそうです。

 

2 天風会・堀田亜希子講師による講義

 

続く第2登壇者の堀田亜希子講師からは、「天風哲学の視点~ちからを発現させるエッセンス~」という演題で講義をしていただきました。前回の登壇者吉田章人講師の体験談から引き継がれ、堀田講師ご自身も、人生を建設していく上で天風哲学の実践が欠かせないものであったそうです。

それは、人間には(自分には)「潜勢力」という体と心の万能のちからが備わっているという明確なアンサーを理解したから。潜在意識から発現してくる潜勢力というものを認識、自覚していったからだとお話しくださいました。

そして、そのちからを発現させるには、普段のマイナス感情を統御すること、常に心を積極化させるよう努力することが最重要であり、それには例えば、日々の仕事や生活の中で楽しいことや嬉しいこと、幸せに思うことを素直に感じられるように、まず思ったり、言ったり、書いたりと、喜びとして味わうことが大切だというアドバイスもいただきました。

また心がネガティブに傾きそうになる「大変な時」にこそ、その時やらなくてはいけないことにいつもより丁寧に心を込めて取り組むことを堀田講師は気をつけておられるとのことでした。

そして、大切なのは、自分に対する思考だけではなく、人に送る思考も重要なカギとなるというお話です。「ありがたい」 と 考える。「がんばれ」と考える。「思いやろう」と考える。そういう思考を持つことで、心の状態が整って、自分自身の中にもエネルギーがわいてくる。思考するだけで、意識するだけで、なぜ自分の中にエネルギーが生まれるのか、それは、思考自体がエネルギーを生み出すという天風哲学のエッセンスをわかりやすくお伝えいただきました。

 

3 感動プロデューサーⓇ平野秀典氏による特別講演

 

第3登壇者で特別講師の平野秀典氏からは、『感動の創造 新訳中村天風の言葉』に込めた思いやオリジナルの肩書となる「感動プロデューサー」という働き方の原点に触れたお話を、天風哲学における大切な言葉「人の喜びをわが心の喜びとする」というテーマで、お話していただきました。

平野氏にとって天風哲学のどの点に一番ユニークさを感じるかについては、新刊『感動の創造 新訳中村天風の言葉』の帯にもある「欲を捨てるな、炎と燃やせ」というところだそうです。そして炎と燃やすべき最上級の欲こそ「人の喜びをわが心の喜びとする」という天風先生の言葉を紹介されました。

平野氏は著作や講演の中で、そのアプローチを「自他感動」と表現されています。
相手だけが感動、喜びを感じるという生き方は自分自身を犠牲にするような生き方になってしまいがちで、会社経営でいうと社員が疲弊してきてしまいます。

しかし、自分に元々あるもの、例えば最高の笑顔・最高の声を使っていく、そういう訓練をして、まず自分を輝かしていく(平野氏は著作で「本領発揮」という言葉で表現されています)
そこから行動を始めると、喜びをお互いに味わい、喜びを大きくすることができると伝えていただきました。誰もが元々持っている才能や能力を、平野氏は「標準装備」と表現されており、天風哲学で言う「潜勢力」と通じる概念でした。

また、積極思考とは「前向き」だけでなく「上向き」の方向性を持つのではないかという問いかけをしていただきました。
天風先生の言葉には、「尊さ」や「気高さ」「宇宙」などの「上向き」の方向性が見えると読み解かれたそうです。
そして、「上」を意識することで「上」から自分を観る視点も生まれ、それは「メタ視点」「離見の見」とも呼ばれることも教えていただきました。

上向きの思考がわかりやすく表現されているとして、次のチャールズ・チャップリンの言葉を紹介いただきました。
「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ」
大事なことは前だけではなく横にも後ろにも存在し、それを客観視(=メタ視点)することで、進むべき道が見えてきて、運命を拓くことができるということでした。

また、天風哲学で言う「有意注意力」を高めるコツを、「人称」という新しい視点で解説され、「大勢ではなくたった一人へ心を込めて伝える」手紙を書くように表現するというやり方を教えていただきました。

最後に、天風先生が伝えてくれた「Success」(成功)の語源は「Succeeding」(受け継いで生み出す)であるという解釈を、平野氏は「恩贈り」と表現されました。

天風会講師であったお父様も立った天風会のセミナー会場(舞台)に立っているという今が、時空を超えて平野氏の中で大きな感動を生む恩贈りであるとして、お父様への感謝のお手紙を朗読してくださるというサプライズには、会場全体が感動で包まれました。

新年明けの休日、しかも連続のセミナー開催でしたが、全国の天風会会員以外に、一般の方も大勢ご参加くださる大変盛況なセミナーが無事閉幕しました。
ご参加くださいました方、また応援してくださいました方、本当にありがとうございました。

★前編(2019.01.19)のレポートはこちら

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